物理学科のための古典力学オススメ教科書12選

古典力学は物理学すべての基本です.電磁気学,流体力学では明らかに古典力学が理解できていることが前提ですし,量子力学でも古典力学的な描像を理解していないと教科書もまともに読めません.

今回は大学物理の入門から量子力学へ入れるレベルまでと,更に高度な古典力学の教科書,参考書を紹介したいと思います.

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入門編

戸田盛和「力学(物理入門コース)」

まずは戸田盛和先生の力学がおすすめです.大学物理入門としてエントリーに適しています.物理が好きな高校生にも進められる本です.

一方,程度としては低い方ですので何度も参照するものではなく最初の理解用の本として有用です.

副島雄児「力学 (講談社基礎物理学シリーズ)」

同程度の本ですと最近(2009年)に出版されたこの本も書店に並んでいます.古典力学の入門は既に完成されている分野なので新しいという理由だけでこの本を選ぶ理由はないでしょう.実際に本を開いてみてレイアウトが気に入った程度の決め方で良いです.

伊藤克司「解析力学 (講談社基礎物理学シリーズ)」

私は解析力学の教科書はこの本で勉強しました.最低限これだけ分かっていれば良い程度のことが書いてあります.初学者向けに書かれた本ですので,今後程度の高い本を読む前の踏み台に適していますが,どうしても苦手というわけでもなければ敢えてこの本を読むまでもないような気もします.但し,なれない概念に戸惑って無駄に時間を使うくらいならさっさとこのレベル帯の本を読むのも有りだと思います.

初級編

原島鮮「力学」

ずっと使える本としては原島鮮先生の本が有名です.大学物理に慣れているという前提では非常に分かりやすく参照製の良い本です.しかしいきなりこの本に入ると講義のフォローがないと計算が追いつけなかったりすることがありますので,自身のある方はいきなりこの本に挑戦してはどうでしょうか.今後学習が進むに連れてこの本に比べて遥かに難解な本が普通になってきます.

前野昌弘「よくわかるシリーズ」

この二冊もおすすめです.図解が詳しく書いてあり,ポップな書籍名ですが中々に程度が高い内容です.著者がサポートページを運営してくれているので理解を深めることができます.
解析力学は量子力学の基礎となっており,量子力学の学習をしているときにも立ち戻って復習したいときに参考になる本です.

中級編

ランダウ・リフシッツ「力学(理論物理学教程)」

一通り古典力学を学習したら理論物理学教程の力学を読むと思考が整理されます.この本は解析力学の本となります.非常に綺麗な論理展開で力学を再構成しており,全体の構成を俯瞰することができます.内容は詰まっており,途中計算などはありません.そうは言っても論文よりは遥かに懇切丁寧なので巷で言われているほど難書というわけでもありません.

ゴールドスタイン「古典力学」

ランダウとよく比較されるのがゴールドスタイン先生の古典力学です.最近の流通では表紙の種類が混在しているようで好みが別れるでしょう.こちらは分冊で分厚いのでランダウよりは丁寧な記述になっています.実際,この本を読み切るほどに力学に時間を書けるべきなのかは定かではありませんが,統計物理や量子物理の学習をしていて,力学をちゃんと復習したいな,と思ったときに良いと思います.なお,演習問題の回答集も出版されています.

上級編

アーノルド「古典力学の数学的方法」

物理学参考書マニアには有名なアーノルド先生の力学の本です.数理物理の道に進みたい人か,趣味で読破したい人以外には向いてないでしょう.日本語版は絶版ですが,英語を頑張って読む気力がなければこの本の内容を理解することは難しいでしょう.私は20ページで力尽きました.

まとめ

古典力学は基礎なのでしっかりと身につけるべきですが,あまり深追いしすぎると微分幾何だったり(物理学科生としては)高等な数学が必要になります.取り敢えずはランダウの力学ぐらいは読んでおいて,後は必要になったら適宜振り返るくらいの軽い感じで良いと思います.

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