物理学科のための量子力学オススメ教科書10選

量子力学は良く分からない学問です.

波動関数の解釈等はありますがそれも所詮定説ですし,自分の常識を曲げてなんだか良く分からないけど,そもそもこういうものという状態になって初めて量子物理の入り口に入るのだと思っています.

今回は私が今まで読んできた教科書を「最初からこの順番で読んでいればもっと捗ったのに……」という順番で紹介していきたいと思います.

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入門編

小出昭一郎の入門書

小出昭一郎先生の本が最初の一冊に良いと思います.一行一行しっかりと追っていき,全ての式を自分で計算して確かめれば基礎力は十分に付きます.

演習書もあります.悪くはなく,問題の選定も考えられているとは思いますが,この段階で演習を繰り返す必要はないでしょう.ただ,上記の教科書と一緒に読むと理解が深まります.私は併読しました.

中級編

Griffiths本

中級としてはこのGriffithsの本がおすすめです.演習問題がたくさんあり,全てマスターすれば東大院だろうが楽勝になるほどの自力が付く程です(効率が悪いのでこれで院試対策をするのはお勧めできません).解説も丁寧で英語も平易なので洋書入門としてもおすすめです.分量としてヘビーなのでゆっくり焦らずに読むタイプの本です.

砂川重信の「量子力学」

先ほどのGriffithsの本はブラケットなどが分かり辛いので砂川重信先生の本もおすすめします.何故かあまり有名ではないようですが個人的にはこの本が量子力学の教科書では最強だと信じています.恐ろしいほどにまとまっており非常に読みやすい本です.計算を省略せず,しかし冗長にならない絶妙な力加減がなされています.散乱理論も入門書にない高度な部分(本来これが基本であるべき)までごまかしが一切ないので一度理解したら終わりの類ではなく,一生使える本です.

上級編

J.J.サクライ:現代の量子力学

一通り伝統的な量子力学をマスターしたらJ.J.サクライの現代の量子力学で新たな視点から俯瞰してみましょう.第2版となり数式が綺麗になり読みやすくなりました.シュテルンゲルラッハの実験からシュレディンガー方程式を導くまでの流れに感動した人も多いはずです.散乱理論は砂川先生よりも直感的に解説されていて,合わせて読むと非常に参考になります.

研究の基礎

ディラック:量子力学

ブラケット記法を導入したディラックの本です.

ランダウの理論物理学教程

最高に難しいと評判のランダウの理論物理学教程です.この本を読む際は難しいとは言っても論文を読むよりは簡単だと思って戦いましょう.殆ど専門書のようなものです.

最後に

これら全てを読む必要があるかと言ったらそんなわけはなく,自分に合った本を積極的に探しましょう.講義も大事ですよ.

物理学の良書に出会うことは,学習効率に関して非常に大きな影響を及ぼします.ここでは,これまで紹介してきた物理学に関する本の記事をまとめていま...
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