フェルミ分布関数と階段関数

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フェルミ分布関数と階段関数の関係についてまとめます.

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Heavisideの階段関数と他の階段関数

階段関数として有名なものにHeavisideの階段関数というものがあります.これをH(x)と置くと

(1)  \begin{align*} H(x) =  \begin{cases} 1 & ( x > 0 ) \\ 0 & ( x < 0 ) \end{cases} \end{align*}

と定義されます.ここではx = 0での値は定義されていません.

特に名前はついていませんが,x = 0でも値を定義した階段関数を考えることができます.例えば値zを取る関数をH_{z}(x)とすると

(2)  \begin{align*} H_{z}(x) =  \begin{cases} 1 & ( x > 0 ) \\ z & ( x = 0 ) \\ 0 & ( x < 0 ) \end{cases} \end{align*}

と定義することができます.特にH_{1}(x)は単位ステップ関数と呼ばれています.

フェルミ分布関数

所で,物理学にフェルミ分布関数というものがあります.これをf_{\text{FD}}(\epsilon)と置けば

(3)  \begin{align*} f_{\text{FD}}(\varepsilon) = \frac{1}{ \mathrm{e}^{\beta ( \varepsilon - \mu ) }  + 1} \end{align*}

と定義されます.\beta = 1 / k_{\text{B}} Tは逆温度と言われるパラメータです.また,引数を\xi = \varepsilon - \muにして関数f(\cdot)を定義し直せば

(4)  \begin{align*} f(\xi) = \frac{1}{ \mathrm{e}^{\beta \xi  }  + 1} \end{align*}

と書くことができます.

絶対零度でのFermi分布関数

この関数において絶対零度極限T \to +0を取ると\beta \to \inftyとなるので,
引数\xiの符号で関数の挙動が大きく変わります.

\xi > 0のときは

(5)  \begin{align*} f(\xi) = \frac{1}{ \mathrm{e}^{\beta  \lvert \xi \rvert  }  + 1} \to \frac{1}{ + \infty  + 1} = 0 \end{align*}

となり,\xi < 0のときは

(6)  \begin{align*} f(\xi) = \frac{1}{ \mathrm{e}^{ - \beta  \lvert \xi \rvert  }  + 1} \to \frac{1}{ 0^+  + 1} = 1 \end{align*}

となります.\xi = 0のときは明らかに

(7)  \begin{align*} f(\xi) = \frac{1}{ \mathrm{e}^{ 0  }  + 1} \to \frac{1}{ 1  + 1} =  \frac{1}{2} \end{align*}

となります.

結果

以上よりフェルミ分布関数は絶対零度極限において,階段関数H_{1/2}(x)を用いて

(8)  \begin{align*} f(\xi) = H_{1/2}(-\xi) \end{align*}

と表現できることが導けました.

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